労働基準監督署の調査対策

労働基準監督署

労働基準監督署とは、厚生労働省の各都道府県労働局の管内に複数設置される出先機関で、労働基準法に基づき、労働条件及び労働者の保護に関する監督を行います。また、労災保険の給付、労災保険及び雇用保険の適用並びに保険料の徴収等を行っています。略して労基署、監督署等とも呼ばれます。

労働者を保護する立場より、労働条件・安全衛生環境・賃金等における労使トラブルについて労働者からの申告や相談を受け付け、事業主から事情を聞いたり、事業所への立ち入り調査を行ったりします。また、労働基準法令についての事業主からの相談や安全衛生、健康管理、各種手続きにおける指導も行います。

労働基準監督署で働く労働基準監督官は、労働関係法令を遵守させるため、事業所の調査を行い、労働基準法令の違反があった場合には是正勧告を行います。労働基準監督官は、労働基準法令違反について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う権限をもっています。是正勧告に従わなかったり、虚偽の報告をしたりすると、書類送検される場合があります。

労働基準監督署の調査

労働基準監督署の調査とは、労働基準監督官が労働基準関係法令の違反がないかを調査するために事業場に立ち入るもので、次の4種類に分けられます。

● 定期監督
定期的に行われる調査のことで、経済動向・労災発生状況・遵法状況等の分析より計画的に行われるとされています。労働基準関係法令の違反がないかの確認を事業所・工場・建設現場を訪問し実施されます。実際には、サービス残業が多い業種や労災事故が起こりやすい事業所が対象になっているケースが多いようです。
労働基準関係法令の違反があった場合は是正勧告がなされます。

● 申告監督
労働者からの申告に基づき行われる調査です。予告なく事業場にやってきて調査を行う場合もあり、臨検ともいわれます。労働者からの申告に対して無制限に行われるものではなく、労働基準法、労働安全衛生法・最低賃金法等の労働基準監督署が所管する法違反の場合のみに行われます。
労働基準関係法令の違反があった場合は是正勧告がなされます。

● 災害時監督
労働災害が発生した場合、原因究明と再発防止のために行われるものです。
労働基準関係法令の違反があった場合は是正勧告がなされます

● 再監督
是正勧告がだされた場合、その後の是正状況を確認するために行われます

是正勧告

是正勧告とは、労働基準法令の違反について行われる行政指導のことです。あくまで行政指導なので、強制されることはないのですが、労働基準法令の違反については明白なので、これに従わなかったり虚偽の報告をすると書類送検される場合もあります。
是正勧告が行われる場合には、その内容について是正勧告書が交付されます。この勧告に対し、是正内容を是正報告書に記入して労働基準監督官に提出します。

● 是正勧告書
労働基準法等の違反について、違反した法令の条文番号とその内容が記載されたもので、指定された期日までに是正を行うために交付される書面です。

● 是正報告書
是正勧告を受けた場合に、指摘された労働基準法令の違反を是正したことを労働基準監督官に報告するために提出する書面です。未払い賃金の振込控や領収書等、是正した証明書類を添付します。

● 指導票
明確な労働基準法令の違反ではないものの、改善が必要と判断された場合に交付される書面です。

労働基準監督官による書類送検

労働基準監督官は、労働基準法令違反について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う権限をもっています。是正勧告に従わなかったり、虚偽の報告をしたりすると、書類送検される場合があります。

【労働基準監督官が特別司法警察官の権限を有する法律】
1.労働基準法
2.労働安全衛生法
3.じん肺法
4.家内労働法
5.炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法
6.作業環境測定法
7.最低賃金法
8.賃金の支払の確保等に関する法律

送検事例(賃金不払い)

〇〇労働基準監督署は、本日、下記の労働基準法違反事件を、〇〇地方検察庁に書類送検した。

1  被疑者
(1)株式会社○○商事
(2)同社代表取締役 A

2  罪名・罰条
労働基準法違反
同法第24条(賃金不払)
同法第120条第1号(罰則:30万円以下の罰金)
同法第121条第1項(両罰規定)

3  事件の概要
被疑者株式会社○○商事は、○○に本店を置き、フリーペーパー、広告チラシ等の編集発行等を営む事業主であるが、同社の代表取締役である被疑者Aは、使用していた労働者計13名に対する平成○年○月○日から平成○年○月○日までの賃金合計3,309,239円を、それぞれの所定期日に支払わなかったものである。

4  その他
同社は平成○年○月をもって事業活動を停止しており、同社の被害労働者のうち12名に対しては、未払賃金の8割が国の未払賃金立替払制度により支払われる予定である。

労基署調査に対する対応

● 調査の前に準備すること
臨検の場合を除いて、事前に調査の日時や用意する帳簿書類等を指定されるのが普通です。指定されたものを揃え、それらについて説明できるようにしておかなければなりません。内容的に不備があったり、実態との整合性がとれていないものについては説明を求められますので、注意が必要です。

● 是正勧告がなされた場合
是正勧告がなされた場合は、是正期日までに指摘された事項を改善し、是正報告書を提出しなければなりません。未払い残業代の支払い行った場合等は、その証拠として、受領書や銀行振込の控えのコピーを添付します。

● 是正勧告に対して異議がある場合
是正勧告に対してどうしても納得がいかないという場合には、労働基準監督署長宛に弁明書や反論書を提出してこちらの言い分を述べるべきです。そのような場合は、労働法専門の弁護士や社会保険労務士のアドバイスを活用しましょう。

是正勧告を受けないためのチェックシート

□法定帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)は整備されているか

□ 残業代が適正に支払われているか

□ 残業代の計算方法は適正か

□ みなし労働時間制の運用は適正に行われているか

□ 三六協定の締結・届出が行われているか

□ 年次有給休暇の管理が行われているか

□ 採用時の労働条件の明示は行われているか

□ 就業規則の届出は行われているか

□ 減給の制裁は適正に行われているか

□ 最低賃金が支払われているか

□ 解雇予告は適正に行われているか

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