労使トラブル、問題社員対応
労使トラブルの増加
厚生労働省が公表した平成23年度の個別労働紛争の相談状況によると、総合労働相談件数は110万9454件で前年度比1.8%の減少、民事上の個別労働紛争相談件数は25万6343件で前年度比3.8%の増加となっています。総合労働相談件数は4年連続で100万件を超えています。相談内訳は上位から、「解雇」、「いじめ・嫌がらせ」、「労働条件の引き下げ」となっており、なかでも「いじめ・嫌がらせ」は前年度比16.6%と大幅に増加しています。数字を見ると、いかに会社と従業員との間でトラブルが多いかということが分かります。
労使トラブル増加の背景
なぜ、このように多くの労使トラブルが発生するのでしょうか?理由はいくつか考えられますが、まずは労働者の意識の変化が挙げられます。終身雇用制が崩壊し、パートタイマーや派遣労働者などの非正規雇用が増加し、転職が当たり前という雇用状況のなかで、労働者は雇用契約や労働基準法令の遵守を会社に強く要求するようになってきています。また、インターネットの普及により、これまで一部の専門家しかもっていなかった情報を簡単に手に入れられるようになったことが、このような状況に拍車をかけているといえるでしょう。検索サイトで「未払残業代」と検索してみてください。残業代の計算方法から内容証明郵便の作成まで、未払残業代の請求方法を詳細に解説したサイトがいくつも登場します。なかには「支払われた残業代の一部を成功報酬として・・・」などというものまであります。さらに、リーマンショック・東日本大震災による不況の影響も大きいと考えられます。会社は人件費削減のために「解雇」や「労働条件の引き下げ」を行おうとするので、トラブルが発生し易い状況にあるのです。
労使トラブルを防ぐには?
それでは、このような状況に会社はどう対応していけばいいのでしょうか?トラブルを発生させないためには、就業規則により職場のルールを明確にし、使用者と労働者の双方がそれを守ることが必要です。しかし、ひな型を写しただけで実際の労働条件と内容が異なっている就業規則や、法律改正が何年にもわたり反映されていない就業規則にたいへんよくお目にかかります。さすがに10人以上の労働者がいる事業所で就業規則がないというケースは珍しいと思われますが、定期的に内容を見直したり、法律改正に対応して就業規則の変更を行っている会社は少ないのが現実です。就業規則の規定の不備として、よく例に挙げられるものに退職金の支給範囲があります。これは、正社員を支給対象に想定していたにも関わらず、具体的に正社員に限定することが定められていないため、正社員以外にも適用されてしまう場合があるという例です。現実に即すべての従業員に適用されるということはないのですが、過去の裁判例では嘱託社員に支払いを命じたものがあり、正社員に限定するという規定があれば回避できた事案であると考えられます。また、毎年4月に定期昇給を行うという規定があれば、いくら会社の業績が悪くても昇給を行わなければなりません。経済が右肩上がりの時代にはこのような規定でもよかったのかもしれませんが、現在の経済状況においては問題です。就業規則ですべてのトラブルを防ぐことができるわけではありませんが、規定がなかったり不備があることにより、被るリスクがあることを会社は認識しなくてはなりません。
労使トラブル解決
当事務所は、開業以来労使トラブル解決に力を入れてまいりました。数多くの現場対応を行うことにより、机上の法律論でない独自の解決ノウハウを蓄積してまいりました。就業規則による予防法務はもちろんですが、労使トラブルが発生してしまった場合の対応力が当事務所の強みです。労使トラブルから派生した労働基準監督署の調査・是正勧告への対応からユニオン(合同労組)対策についても豊富な実績があります。また、訴訟に至る場合に備えて労働法専門の弁護士との業務提携を行っており、労使トラブルを解決するために万全の体制をとっています。
問題社員対応
勤務態度が悪い、上司の指示に従わない、遅刻・欠勤を繰り返す、協調性がまったくないなどの問題社員はどこの職場にも存在するようです。労使トラブルの増加と同様に問題社員についての相談が増えています。業務に支障が生じているケースもあり、会社として毅然とした対応をしなければなりません。しかし、問題社員の中には会社よりも労働法にくわしく、自分のことを棚に上げて会社の問題点を指摘してくる者もいます。仕事をしない代わりにインターネットを利用した情報収集には余念がありません。
いくら改善指導をしても問題行動をとる社員に対しては、懲戒処分をもって臨むべきですが、労使トラブルに発展するケースも少なくないので注意が必要です。
また、問題社員が発生しやすい会社や職場というのは、社員教育の仕組みが無かったり、人事考課が適当であるなどの共通点があるのが一般的です。問題社員が発生しないような職場環境を整えることも大切です。
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